ゲーテ・ドイツ語検定試験(Goethe-Zertifikat)の勉強法とレベルの目安として、公式が公開している情報をまとめました。内容は、試験を実施するゲーテ・インスティトゥートが公開している練習問題(Übungssatz)・モデル問題(Modellsatz)・試験実施規則・語彙リスト・試験の手引きの PDF によるものです。日本での試験日と申込期間はゲーテ・ドイツ語検定試験の日程のページ、レベルと合格の基準・試験の構成と時間・受験料はゲーテ・ドイツ語検定試験とはのページ、申し込み前の確認と当日の流れはゲーテ・ドイツ語検定試験を初めて受ける人への記事にあります。
試験で問われる力
各レベルは「読む・聞く・書く・話す」の4技能で測られます。A2・B1 の練習問題と B2・C1 のモデル問題の序文は、問題の種類・数・時間が実際の試験と同じだと説明しています。各レベルの序文が挙げる「合格した人にできること」と、各パートの目的をまとめます。
- A1:日常の短い質問・指示・案内放送・短い会話を理解できる。短いメッセージや掲示・広告から必要な情報を取り出せる。数・量・時刻・値段を言い、理解できる。書式に個人情報を記入し、短い私的な連絡を書ける。自己紹介と簡単な質問への答え、日常の依頼とその応答ができる。構成は、聞く3・読む3・書く2・話す3のパートです。話すは、自己紹介と綴り・数の言い方、互いの質問と答え、依頼と応答のパートです。
- A2:日常の文や頻出の表現(個人・家族・買い物・学校・身近な環境)を理解できる。身近な事柄の簡単な情報交換ができる。出身・学歴・身の回りのことを簡単な手段で説明できる。読むは4パート(メディアのテキストの情報と主張/案内板や行事プログラム/手紙やメール/広告)、聞くは4パート(ラジオ・留守番電話・構内放送の情報/まとまった会話/個別の会話/ラジオのインタビュー)、書くは2パート(私的な連絡/やや公的な連絡)、話すは3パート(個人情報の交換/自分の生活についての詳しい説明/一緒に何かを計画して決める)です。
- B1:明瞭な標準語で、仕事・学校・余暇などの身近な話題の主な情報を理解できる。旅行先のほとんどの場面に対応できる。身近な話題を簡単に筋道立てて述べ、経験や出来事を報告し、夢・希望・目標や短い理由・説明を述べられる。読むは5パート(手紙を読む/情報と論拠の理解2つ/全体を見渡して読む/書かれた指示の理解)、聞くは4パート(案内・放送・指示/聴衆としての理解/母語話者どうしの会話/ラジオ番組や録音)、書くは3パート(私的な連絡で提案や理由を書く/あるテーマについて意見を書く/依頼や謝罪などの連絡)、話すは3パート(一緒に計画を立てる/5枚のスライドで発表する/発表に反応して質問する)です。
- B2:会話・講演・ラジオの標準語を理解し、抽象的な話題でも主な内容と必要な情報をつかめる。長く複雑な説明文・論評・報告を含む幅広い文章を理解できる。メールや議論への投稿で、複雑な事柄を明確に構造立てて書ける。抽象的な話題について構造立てて口頭で述べ、慣れた場面での議論に加わって立場を述べられる。読むは5パート(態度や考えの理解/情報の理解(2パート)/立場の理解/規則や指示の理解)、聞くは4パート(日常会話/情報/発言/講演)、書くは2パート(意見を述べる文章(150語)/私的な連絡(100語))、話すは2パート(準備した発表と質疑/賛否を議論する)です。
- C1:要求水準の高い長い文章を理解し、暗黙の意味もつかめる。長い発言や講演、複雑な議論や不慣れな話題にも容易についていける。読み手や目的にふさわしい文体で、明確に構造立てて詳しく書ける。自発的に流暢に話し、複雑な話題を構造立てて述べ、議論にほとんど苦労なく加わって説得的に立場を述べられる。読むは4パート(語を復元する穴埋め/記事の要点と個別情報/文を復元する穴埋め/意見や主張を探して位置づける)、聞くは4パート(ポッドキャストの個別情報/専門家へのインタビュー/3人の議論/講演)、書くは2パート(オンラインフォーラムへの投稿(約230語)/(準)公式のメール(約120語))、話すは2パート(聴衆の前での発表と質疑/議論で立場を主張する)です。
- C2:実施規則とモデル問題によると、読むは4パート(筆者が意見を述べる文章の理解/解説文の段落と文の対応づけ/新聞のルポの空欄に段落を入れる/4つの短い文章から必要な情報を探す)、聞くは3パート(短い放送の主旨と個別情報/2人の会話で、暗に述べられた意見も理解する/専門家へのインタビュー)、書くは2パート(指定された語を使った書き換え/4つのテーマから1つを選んで約350語で書く)、話すは2パート(約5分の講演と質疑/試験官との討論)です。手引きは、読むのパート1の文章を約1,000語、パート2の解説文を約700語としています。
C1 の手引きは、題材は特別な専門知識や世界知識を必要としないよう選ばれ、歴史などの事実の知識は問わず、地域事情の知識は読む・聞くの解答にも書く・話すの評価にも関係しないと説明しています。
レベルの目安
各試験が対応するヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)の段階は、ゲーテ・ドイツ語検定試験とはのページにあります。ここでは、公式が示している語彙リストと学習量の目安を書きます。
公式の語彙リスト(Wortliste)
- A1:約650語。リストの語はすべて、聞いたり読んだりして理解できるようにしておく語(受容的)とされています。能動的に使えるのは、その約半分ほどとされています。
- A2:約1,300の語彙項目。少なくとも受容的に身につけていることが期待されています。
- B1:約2,400の語彙項目。少なくとも受容的に身につけていることが期待されています。
A2 と B1 のリストの序文は、聞く・読むの文章にはリストにない語も出るが、課題を解くのに必要ないと説明しています。どのリストの序文も、リストは試験の水準を知るための情報であり、語彙の練習や定着にはあまり向かないとして、語学コースの受講と教材の利用を勧めています。B2 以上の語彙リストは、確認できた公式の PDF には見当たりませんでした。
文法・語彙・言語機能の一覧、学習量の目安
- A1 の手引きには、言語行為・方略・一般的な概念・テーマ・語彙・文法(形態と統語の構造)の一覧が収められています。
- C1 の手引きは、語学コースで必要な知識と能力を身につけるのに約800〜1,000授業単位(1単位45分)としています。
- C2 の手引きは、ゲーテ・インスティトゥートの集中コースで少なくとも1,000授業単位(1単位45分)を見込むとしています。これは目安で、意欲・学習経験・母語・学習環境によって変わるとされています。
レベルの選び方
- 語学コースの受講や下のレベルの合格証が必要かどうかは、初めて受ける人への記事にあります。
- C2 の手引きは、試験の形式に慣れるために準備コースへの参加を勧めています。
公式の練習の材料
ゲーテ・インスティトゥートは、練習問題やモデル問題を PDF で公開しています。B1 の練習問題の入手先はゲーテ・ドイツ語検定試験とはのページにあります。
- 練習問題・モデル問題(PDF):A1 は Modellsatz と Übungssatz 2つ、A2・B1・C2 は Modellsatz と Übungssatz、B2 と C1 は Modellsatz を確認できました。問題冊子のほか、試験官用の冊子に、解答、聞くのスクリプト、書く・話すの採点基準、得点付きの書くの答案例が収められています。
- 練習問題の序文は、辞書などの補助なしで、時間の指定どおりに解くと、現在の実力の現実的な像が得られると説明しています(A2)。実際の試験と同じ条件で解けば試験の状況を再現できるとも書いています(B1)。
- 試験の手引き(Prüfungsziele, Testbeschreibung、PDF):試験の目的・構成・採点などを説明する公式の手引きとして、A1・C1・C2 の手引きがあります。
- C2 の課題図書の一覧(Literaturliste、PDF):C2 の書くのパート2は、自由なテーマ2つと、課題図書に基づくテーマ2つから1つを選びます。一覧は公式が公開していて、課題図書のテーマを選ぶ場合は、受験する年の一覧にある書名のうち少なくとも1冊を事前に読んでいることが条件とされています。
書く・話すの採点の観点
採点基準は、練習問題の試験官用冊子に載っています。実施規則によると、書くは2名の採点者が(A1 は書くのパート2)、話すは2名の試験官が、別々に採点します。各基準では定められた点だけが与えられ、中間の値は認められません。
- A1:書くは、内容のポイントごとの課題の達成と、文章の種類にふさわしい形(宛名など)を見ます。話すは、課題の達成と言語的な実現を見ます。
- A2:書くは、課題の達成(言語機能・語域)と、言語(一貫性・語彙・構造の幅と使いこなし)を見ます。話すは、課題の達成(言語機能・やりとり・語域)、言語(語彙・構造)、発音(文のメロディー・語のアクセント・個々の音)を見ます。
- B1・B2・C1:書くは、課題の達成(内容・分量・言語機能、語域、社会文化的な適切さ)、一貫性(文章の構成、文のつながり)、語彙、構造(形態・統語・綴り)を見ます。話すは、課題の達成、やりとり(会話を始め、続け、終える。反応する)、発表の一貫性、語域、語彙、構造、発音を見ます。B2 と C1 の話すには、流暢さと質疑応答も加わります。
- C2:書くのパート2は、課題の達成(内容の観点)、文章の構成、一貫性、語彙、構造を見ます。話すは、講演の達成、討論での対話の進め方、一貫性、語彙、構造、発音とイントネーションを見ます。
A2〜C2 の基準は、A〜E の段階で評価します。「課題の達成」が最も低い評価(E)になると、その課題の得点は0点です。書くでは、文章の長さが求められる語数の50%未満の場合かテーマから外れた場合が E です。C1 の手引きは、書く・話すの評価基準を、言語手段の幅、語彙、流暢さ、社会言語学的な適切さ、一貫性と結束性、文法の正確さ、発音、綴りの面から作ったと説明しています。
出典
- ゲーテ・インスティトゥート A1 Start Deutsch 1 Übungssatz 01(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート A1 Start Deutsch 1 Übungssatz 02(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート A1 Start Deutsch 1 Modellsatz(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート A2 Übungssatz(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート A2 Modellsatz(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート B1 Übungssatz(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート B1 Modellsatz(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート B2 Modellsatz(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート C1 Modellsatz(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート C2 Übungssatz(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート C2 Modellsatz(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート A1 Start Deutsch 1 Wortliste(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート A2 Wortliste(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート B1 Wortliste(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート A1 Prüfungsziele, Testbeschreibung(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート C1 Handbuch Prüfungsziele, Testbeschreibung(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート C2 Prüfungsziele, Testbeschreibung(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート C2 Literaturliste(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート A1 試験実施規則(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート B1 試験実施規則(PDF)
- ゲーテ・インスティトゥート C2 試験実施規則(PDF)